お酢のこと

2020.12.25 フォーラム

【木桶仕込み・呼吸】

木桶仕込み・呼吸
「鬼滅の刃」の映画、漫画、アニメが社会現象にまでなっていますが、

この中での大事なテーマが「呼吸」です。

現代の日本人は、呼吸の重要性も身体哲学も学んでいないので、

ほとんど活用できていないですが、東洋でも西洋でも、呼吸法は大切な技法として

古来から伝承されてきています。

日本では、様々な「〇〇道」の中で必ず呼吸の重要性を伝えています。

さて、中野酢のキャッチコピーでもある

「お酢は生きている」

お酢が生きている?ってどういうこと?

お酢は生きている
実は、中野酢の菌達も「呼吸」をしながら生きています。

また木桶そのものも、醗酵の主役である微生物とともに生き続けています。

「呼吸」によって力のある元気なお酢が出来上がるのです。

木桶には無数の小さな穴があり、さまざまな微生物の住処となっています。

木桶の寿命と微生物はいわば人間の一生よりも長い時間を、ともに過ごしていくのです。

木桶は他の素材に比べて外気の影響を受けにくく、適温適湿に保つことができるため

熟成に適した環境を作ってくれます。

また、使用するほどに菌が住み着き味や風味に個性が生まれます。

現在、現役の木桶は、明治や大正、初期など戦前に

造られたものがほとんどといわれていますから、

市場の木桶仕込みの調味料の中には100年以上の時間が積み重なってできた

味わいのとても深いものが多いと思います。

蔵ごとの個性また木桶だけでなく、木桶が保管される蔵全体も微生物の住処となります。

そのため、蔵が置かれる地域の気候の特徴や日当たり、

風通しなども微生物の生活に影響を与えます。

さまざまな要素が絡み合って独自の生態系がつくられるため、

同じ材料であっても蔵ごとに異なる個性が生まれます。

この個性は「蔵ぐせ」とも呼ばれ、蔵を移築するとそれまで育ってきた個性に変化が見られるます。

一見すればただの容れ物、建物である木桶や蔵ですが、

実際には蔵元ごとの味わいを造る上で非常に重要なことがこの言葉から分かります。

酵母や麹の活動は気温や湿度に左右されるので、調湿性が高く、

涼しい土蔵造りが醸造に適しているのです。

蔵元にしか出せない理由がここにあります。