お酢のこと
2026.08.21 中野酢だより
「あらごしいちご酢」ができるまで ― 希少な有機いちごと、蔵の発酵がつながった話
中野酢では、商品そのものだけでなく、その背景にあるものづくりや、生産者の想いもあわせてお伝えしていきたいと考えています。
どこで、誰が、どのように育てた素材なのか。どんな想いでつくられ、中野酢のお酢と出会ったのか。
このコラムでは、商品が生まれるまでの背景や、そこに関わる人たちの顔が見えるような話を、少しずつご紹介していきます。
今回ご紹介する「あらごしいちご酢」は、その希少な有機いちごと、中野酢が受け継いできた黒酒酢が出会って生まれた一本です。
オーガニックnicoさんによると、日本国内で栽培されているいちごのうち、有機JAS認証を受けたものはごくわずかで、その割合は0.002%ほどとも言われています。
大原野で有機いちごを育てる「オーガニックnico」さん

いちごを育てているのは、京都・大原野で有機農業に取り組む「オーガニックnico」さんです。
掲げているのは「人と地球の健康につながる農業」という理念で、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、土づくりを軸にしながら、データや科学的な知見も取り入れて、持続可能な栽培のあり方を模索されています。
苗の段階から農薬や化学肥料を使わずにいちごを育てるのは、簡単なことではありません。
病害虫のリスクは高まり、収穫量も安定しにくくなります。それでも有機栽培にこだわり続けているのは、目の前の一株だけでなく、土の中の微生物や、地下水・河川への影響、生物多様性まで見据えているからだそうです。
目先の収穫量ではなく、その先の環境まで考えて育てられたいちごが、市場にほとんど出回らない0.002%という数字につながっています。
「規格外」でも、育て方の価値は変わらない

有機栽培のいちごは、形が不揃いだったり、小さな傷がついていたりすることもあります。
丁寧に育てられたいちごであっても、形や大きさなど、見た目の規格に当てはまらないことで店頭に並びにくいものがあります。
見た目だけを理由に、価値のある果実が行き場をなくしてしまう。
そうした話をきっかけに、中野酢とオーガニックnicoさんとの間で、「この果実を活かす方法」についてやり取りが始まりました。
中野酢が受け継いできた発酵
中野酢では、静置発酵や木桶仕込みなど、時間をかけてじっくりと発酵させる昔ながらの製法でお酢をつくり続けてきました。
一般に、こうした製法で仕込んだお酢は、短期間で仕上げるものに比べてまろやかな酸味と旨みが出やすいと言われています。
今回のいちご酢に使ったのは、そのなかでも黒酒酢です。
いちご本来の甘酸っぱさに、発酵由来のコクが重なることで、いちごだけでは出せない、もう一段奥行きのある味わいをつくることができました。
あらごし濃厚いちご酢ができるまで

完熟した有機いちごの果汁や果肉を、黒酒酢をベースに、水を一切加えずに仕上げる「無加水製法」でつくりました。
果肉や種ごと粗く濾しているため、「あらごし」ならではのとろりとした口当たりと果実感が残ります。

水で薄めない分、いちご本来の香りと甘酸っぱさがそのまま黒酒酢の味わいに重なり、いちごだけでも黒酒酢だけでも出せない、奥行きのある一本に仕上がりました。
ドリンクとしてだけでなく、サラダのドレッシングやお菓子づくりなど、料理にも幅広くお使いいただけます。
まずは少量を炭酸で割り、香りと酸味のバランスをお好みに合わせてお楽しみください。
一本の背景にあるもの

規格外として扱われがちないちごを、廃棄せずに活かす。
これは、フードロスを減らすことにもつながる取り組みです。
同時に、規格外となった果実にも活用の場をつくることは、環境に配慮した農業を続ける生産者を支えることにもつながります。
あらごしいちご酢は、いちごとお酢という身近な組み合わせでありながら、その裏側には、京都・大原野の畑で有機栽培に向き合う生産者と、発酵にじっくり向き合ってきた蔵元 中野酢、それぞれの取り組みが重なっています。
日本にわずか0.002%しかない有機いちごと、時間をかけて仕込んだ黒酒酢。その組み合わせから生まれた「あらごしいちご酢」を、ぜひ一度お試しください。
今回ご紹介した『あらごしいちご酢』は、中野酢オンラインショップでもお求めいただけます。
