「鬼滅の刃」の映画・漫画・アニメが社会現象にまでなっていますが、この作品の大事なテーマのひとつが「呼吸」です。
現代の日本人は呼吸の重要性や身体哲学をあまり学ぶ機会がなく、実生活ではほとんど活用できていないのですが、東洋でも西洋でも呼吸法は大切な技法として古来から伝承されてきています。
日本では、様々な「◯◯道」の中で必ず呼吸の重要性が伝えられています。
「お酢は生きている」ということ
さて、中野酢のキャッチコピーでもある「お酢は生きている」とは、どういうことでしょうか。
実は、中野酢の菌たちも「呼吸」をしながら生きていて、木桶そのものも、醸造の主役である微生物とともに生き続けています。
この「呼吸」によって、力のある元気なお酢が出来上がるのです。
木桶が生み出す環境
木桶には無数の小さな穴があり、さまざまな微生物の住処となっています。
木桶の寿命と微生物は、いわば人間の一生よりも長い時間を、ともに過ごしていくことになります。
木桶は他の素材に比べて外気の影響を受けにくく、適温適湿に保つことができるため、熟成に適した環境を作ってくれるのです。
また、使用するほどに菌が住み着き、味や風味に個性が生まれていきます。
現在、現役の木桶は明治・大正期など戦前に造られたものがほとんどといわれており、市場に出回る木桶仕込みの調味料の中には、100年以上の時間が積み重なってきた、味わいの深いものが多いと思います。
蔵ごとに異なる「蔵ぐせ」
木桶だけでなく、木桶が保管される蔵全体も微生物の住処となるため、蔵が置かれる地域の気候の特徴や日当たり、風通しなども微生物の生活に影響を与えます。
さまざまな要素が絡み合って独自の生態系がつくられるため、同じ材料であっても蔵ごとに異なる個性が生まれるのです。
この個性は「蔵ぐせ」とも呼ばれ、蔵を移転するとそれまで育ってきた個性に変化が見られることもあります。
一見すればただの容れ物、建物である木桶や蔵ですが、実際には蔵元ごとの味わいを造る上で非常に重要なものであることが、この言葉からも分かります。
酵母や麹の活動は気温や湿度に左右されるため調湿性が高く、涼しい土蔵造りが醸造に適しているのです。これが、蔵元にしか出せない味の理由といえます。

